恋愛小説

恋愛中なら無性に恋愛ものの小説とか漫画とか読みたくなるかと思ったんですが、最近の少女漫画はなぜか無条件ハーレムだし、それでなくても大体はじめっからお互い好き合ってる幸せっぷりに手に取ってすぐ本棚に戻しました。かといって悲恋だとか、失恋だとかは読みたくない。何もない時より好みがうるさくなりました、逆に。

きみはポラリス

きみはポラリス

そんな私でも読めました!
というのではなく、恋愛か?いやまさかという時期に三浦しをんの新刊が出ていたので買った次第です。


この人の文章やっぱりいいなぁ、と思いながら大事に大事に読み進めました。さまざまな恋愛を扱うというテーマだとえぐそうなイメージがあったんですけど、どれもこれもいい感じでした。別に両想いになったり、恋愛的ないわゆるハッピーエンドの作品は少ないんですけど、少なからずどれも先がほんのり明るくて、自分もこんな少しずつでもちょっと前を向いていられる恋愛したいなぁと思ってしまうほどには先が明るい。
いやでもやっぱりそういう感想が浮かぶってことは恋愛中だったんだろうか。かといってこんな恋愛したくねーって物語読んでもストレスたまると思うんですが、どうなんだろう。推理小説だって、こんな推理ありえねーってもの読むとがっかりするのと同じく。


福音の少年

福音の少年

買ったのは文庫版で、文庫版の表紙の方が好きです。
この間ようやくバッテリーを読み終えて巧の不器用さ加減に涙したばかりです。周囲に何のかんのいわれながら、結局野球の才能がゆえに、初めて「友達になりたい」と思った相手に「お前とは友達なんて生ぬるいものにはなれません」とよく分らない振られ方をしてしまう件が6巻中いちばんきました。この手の物語だと、大体は主人公が野球だけがすべてじゃない、野球で得られるかけがえのない友情、そして思い出、これって大事なんだ!という展開に行きつくと思うんですが、巧は一瞬ブレたものの最後に手につかんでいるのは白球で、友情じゃない。友情とか、弟とか始めた頃よりは随分沢山のものへの認識が変わったけど。


って、いつの間にか話がずれた。
福音の少年は逆に「お前とは友達になれそうだ」と思ったいわゆる豪ポジションの少年に対して主人公が「お前とはそんな言葉で片付けられる簡単な関係になりたくありません」と手をのばしちゃう話だと思うんですが、どうでしょう。
とはいえ友達って言葉にしようとすれば、それが適当だからそう呼ぶだけであって、傍から見ればなんじゃそりゃという二人でも友達だし、いかにも仲良さそうに見えてその友達と呼ばれるのが嫌なくらいお互い嫌い合ってるかもしれないし、でもそのどれをも友達と呼んでいいのだろうし、自称してもいいのだと思う。というのは、中学を卒業し、ていうか代休取っちゃうようなポジションにいる私だから言えることで、中学生時分の私にはまた違ったものが見えたのかもしれません。

結局有体な言い方になりますが、あさのさんは少年ではないから想像でしかないはずなのだけど、それでも自分が少年と同じ年頃だったころの感性だとか、記憶だとかを鮮明に持ち続けていて、かつ少年をできるだけそのままに文章の中に生かしたいという欲求の強い人なんじゃないかと思います。



人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)

*p1
後これは、もう散々紹介されつくされているんだろうけど、私も書店で見てビビったので。
これはびっくりするよ、そして太宰治人間失格だという事を忘れて手に取りそうになる。危ない危ない。
母がこれを見て「なんてトラップを仕掛けるんだ」と言ったのが印象的でした。トラップまでは言わなくてもいいんじゃないかな!仮にも教科書に載っている作家ですよ。