あの向こうに見えるのが

秋のミステリーフェアをひとりでまだまだ続けるつもりで『暗黒館の殺人』を読んでいます。長いよこれ!!

2巻まで読み終えたんですが、そういえば綾辻行人の文章ってこんな感じだった……と思いだすのに1巻かかりました。私は良くも悪くも探偵小説的な文体なのだなぁという印象を持っていて、どの辺りにとりわけ感じるかというと、例えば今回浮遊しまくってる視点転換の部分だとか、宴の時とか。想像したら恐ろしいし不気味だし、といった部分でも理性がしっかり働いていて観察する目を決して休ませることのない視点がぶれずにあり続けるのを、どうしても感じてしまうんです。
だから、怖くない。そのシチュエーションに対する恐怖とか、不気味さは感じるけれど彼の文章で読んでいる分には、割と平静でいられるわけです。でも私は怖がりなので、そのぐらいが丁度いいなぁとも思ったりします。作家本人には言えない感想ですけど。

で、肝心の話はというとひとつとーっても気になっていることがあって中也をつかみ損ねています。んんー、難しい。あまり理論的な方法でそう考えているわけではないんですが、ちらほら気になる箇所が散見していて、そっちの方が気になってしまってます。暗黒館の謎は2巻においては、あまり謎っぽくもないですしね。むしろ逆に例えば肉の正体は分らないけれど、浦戸一族の信仰はあっさり分かってしまうように書かれているし、視点がふよふよしているけれどその分探偵側よりずいぶん有利な状況にも置かれているし(とはいえ、あんま素直にありがたく鵜呑みにするのもどうかとまだ迷う)。