有栖川有栖20周年
ここ最近すごいペースで有栖川さんの新刊が出ていて、10年弱程読み続けている私でさえ驚いているので、さらに長いファンの方はより一層驚いているのだろうと思ったら、実は今年で20周年だとか。むしろ驚かずにお祝いだとか。修行が足りてませんでした。というかパソコンなくて新聞も取ってないと、そういうの疎くなっちゃいますよね(携帯で知った)。
言い訳はこの辺で、私が初めて本をとった頃はまだ既刊を制覇するのに必死でどんな新刊が出ていたとか記憶はないんですが、落ち着いた頃に幻想運河とか、幽霊刑事とかは書店で見た*1様な気がしています。
そんなわけでWikiで調べてみたら、大体あってた。
「幻想運河」は1996年が初出だけれど私が読んだ講談社ノベルス版は1999年に出ていて、「幽霊運河」は2000年が初出。
ちなみにその近辺だと
1999年に「双頭の悪魔」「ブラジル蝶の謎」「ダリの繭(新版)」(以上文庫版) 「ペルシャ猫の謎」(ノベルス)
2000年に「英国庭園の謎」 「海のある奈良に死す(双葉文庫版)」 「朱色の研究」(以上文庫版) 「ジュリエットの悲鳴(ジョイノベルス版)」
どれもこれも貪り読んでいたので文字にするだけであの時のわくわくを思い出す。それと、「双頭の悪魔」が思っていたより古くなかったのにびっくり。
こうして見ると、寡作ではないけれど、やっぱり新刊を年に何冊も出す人じゃないのは変わらずだったようなので、やっぱり今回はすごいなぁ。そして私は見かけるたびに「これは!!」とレジに運びます。全部ではないけど最近読んだ、これから読むのはこんな感じ。
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/07/18
- メディア: 単行本
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- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 単行本
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「鸚鵡返し」はさらりと読めて少しの捻りがきいてる。火村が語り手というスタイルのせいかアリスの一人称の時より皮肉がスマートで、それがスパイスになっていて好きです。
「あるいは四風荘殺人事件」はその作品の作りがおもしろいなぁと思っていたら、あとがきを読んでなるほどと納得。個人的にはその主張がストレートでなく、むしろ少しロマンチックな終わりなので、あとがきを読んだ後でいい意味で印象が変化する作品。
ロジックが好きなのは「雷鳴の庭で」、これは逆に難しいこと考えずになんでなんでって考えながらぐんぐん進める。
作家シリーズはこういう短編ができるところがすごい魅力だと思います。こういう広いふり幅をさらりと見せられると、楽しいし。
ちなみに短編はミステリーとしては作家シリーズ、短編小説としてはノンシリーズに好みが寄ることが多いです。
- 作者: 有栖川有栖(著・編),綾辻行人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/07/25
- メディア: 単行本
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それから、本書のコンセプトについては、私は古典や海外に疎いのでこういうのがあると取っ付き易くてありがたいです。
ミステリーってどうしても古典は読んでて当然、という空気になりがちだと感じるし、それが逆にミステリーというジャンルで見た場合の閉塞感*3に繋がっていると思うので、新本格の人たちのこの手の取り組みは素直にいいなぁ、と思います。
本当は、どれ読もうが、読むまいが、その人の自由で、例えば西尾維新の言霊シリーズ読んで「ミステリー好きなんです」と公言してもそこには全く問題ない。ただ、そうした時に古典の話題を振られたり、小難しいことをややこし考えるような議論を持ちかけられたりしがちなジャンルだから、ミステリー好きって公言するの面倒臭い、って少なくとも私は思ってしまう。*4本格ミステリーは更にその上を行ってしまっている気もするし。
でも、そうした議論が楽しいジャンルでもあるし、それで広がっている部分もたくさんあると思うので、とりあえず私は機会があればいろいろ読んでいく方向でミステリー好きへの道を進んでいければいいな。
話がそれた。
まあ、そういう空気を変えるのも大事だけど、逆にとりこんじゃうのもありで、そういう時にこういう本があると楽しいよね!という事です。
それからこれも。
- 作者: 有栖川有栖,鈴木有布子
- 出版社/メーカー: マッグガーデン
- 発売日: 2009/01/10
- メディア: コミック
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エッセイ系は後回しにしがちだけど、鉄道ミステリも密室談義もいつかは。合間にアンソロもあるんだけど、こっちは新刊に飢えているときは読むけれど、そうでない時は他のラインナップ次第、とか贅沢なことを言ってみる。