失うという事、忘れるという事

ノスタルジア (角川文庫)

ノスタルジア (角川文庫)

喪失感も、喪失感を忘れる悲しさも、伝わっては来るのだけれどいかんせん主人公が最後まで拗ねてるようなそんな印象を受けたりもしました。
元々矢鳴とはじめから親しくなかったという距離感もあるのだろうけれど。主人公のモノローグが淡々と自己分析をしすぎているのも多分ある。
でも、羽根になって消えたり、花が咲き続けるという綺麗なモチーフとは裏腹に、痒みを伴うだとか電話をかけ続ける矢鳴を少し疎ましく思ったりだとか、そういう残酷さが最後に効いてきました。
表題作以外の短編はどちらも抜群に面白かったです。